8月2日「司法は行政の朝鮮学校いじめを真にただせるか」

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 朝鮮学校を高校授業料無償化制度の適用対象から外した国の処分の是非が争われた訴訟で、原告側の全面敗訴とした広島地裁とは正反対に大阪地裁は、大阪朝鮮学園側の全面勝訴を言い渡し、処分は違法だとして取り消し、無償化を命じました。

 同様の訴訟を全国5つの地裁で争わなければならないきっかけをつくつたのは、2012年12月26日に発足した第二次安倍政権による朝鮮学校の高校無償化からの排除宣告であったといえます。

 「高等学校等就学支援金制度」では、国から各地方自治体を経由して学校に支払われるものですが、それは学校への支援金というより、日本も批准している国際人権規約の中の社会権規約「中等教育の無償化」を根拠としており、子どもたちが教育を受けるための当然の権利であって、平等に保障されなければならないものです。

 それを広島地裁では、国の主張を全面的に認め、偏見に満ちた理屈で、原告である学校法人広島朝鮮学園と元生徒らの訴えを全面的に退けたのです。

 北朝鮮の核問題や、ミサイル実験、拉致問題を問題視するにしても、それは外交や安全保障のこととして議論すべきことで、朝鮮学校で学ぼうとする子どもたちに、何の罪があるのでしょうか。 「在日コリアンだからけしからん、就学支援を行うな」とでもいうような暴論は、民族、出自、属性を理由にした政府による差別助長、ヘイトスピーチそのものを追認するようなものだと言わざるをえません。

 それに対して、大阪地裁では、適正運営の判断は財務状態などで客観的に認定するべきで、「不当な支配」の判断は文科相の裁量に委ねるべきではないとして、裁量を許せば、逆に行政権力による教育への過度な介入の容認につながるとの懸念を示しました。
 さらに、「戦前・戦中の軍国主義的な教育への反省からできた教育基本法の趣旨に反するとの認識」を示した上で、「不当な支配の有無を検討し、国側が示した報道内容が、合理的根拠に基づくと立証されていない」と指摘しており、学校への朝鮮総連の一定の関与は認定したが、「歴史的事情を考慮すれば不適正とは言えず、不当な支配で自主性のない教育を余儀なくされているわけではない」と結論づけました。

 判決後、菅官房長官は記者会見で「広島地裁判決では国の主張が認められている。そうしたことを基に対応していく」と述べ、控訴の意向をにじませているが、このことが続く東京・名古屋・福岡地裁に忖度を迫るようなことになりはしないかと懸念せざるをえません。

 岩波書店「世界8月号」では、田中宏一橋大学名誉教授は「司法は行政の朝鮮学校いじめをただせるか」と指摘しており、国連人種差別撤廃委員会が2014年に示した最終見解に「朝鮮学校に対して高等学校等就学支援金制度による利益が適切に享受されることを認め、地方自治体に朝鮮学校に対する補助金の提供の再開あるいは維持を要請することを奨励する」とあることを指摘し、阿部浩己神奈川大学教授の述べられた「問われているのは、北朝鮮の振る舞いではない。日本の中で生きる子どもたちを等しく処遇できない、私たち日本自身の姿勢」であることを紹介してます。

 最後に田中教授は「私人によるへイトスビーチにさらされ、他方で公的機関による高校無償化からの除外、補助金カットに直面している朝鮮学校の子どもたちを前に、日本の司法はいかなるメッセージを送るのだろか。」と結んでいます。

 大阪地裁に続くメッセージを注視していきたい。
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Author:sigeo0716
高知県議会議員。所属会派「県民の会」。
社民党・新社会党推薦。現在、四期目。
「憲法の精神を県政のすみずみに-希望・豊かさ・安心の県政を」を目指して、頑張ります。
趣味はプロレスを中心に格闘技TV観戦。上方落語・漫才鑑賞。

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