11月12日「中国残留孤児を生み、苦しめた戦後政治の責任と私たちの取り組みが問われている」

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 昨日の「日中国交正常化45周年・中国残留邦人新支援法成立10周年記念の集い」には、残留孤児・婦人をはじめ中国帰国者や支援者ら約130人が参加し、神戸大学大学院の浅野慎一教授の「中国残留孤児がたどってきた道と日本社会に問いかけたこと」と題した講演に耳を傾けました。

 「残留孤児は、本当に戦争の被害者なのか?」「日本に帰国した残留孤児を苦しめたのは、本当に言葉と文化の壁だったのか?」それだけではすまされないたくさんのことを改めて学ばされました。

 次に、要約してみました。

①ソ連侵攻の際に、なぜ、開拓移民に事前に情報を知らせ、避難させなかったのか?
 ソ連との国境付近にいる開拓移民が避難開始すると、ソ連軍侵攻のきっかけになる可能性があるからということで、開拓移民には情報を一切秘匿し、「静謐確保」をした。開拓移民は、関東軍の作戦に必要な「静謐確保」のための「生きた案山子」であった。
 そして、ソ連軍侵攻の最前線に、無防備で置き去りにしたのである。

②「逃避行・難民生活」を送ることとなったのは、1945年8月以降、日本政府は難民を日本に帰さず、中国東北地方に土着させる方針であったことが、大本営や外務省などの資料で明らかになっている。

③「集団引き揚げとその終結」として、1946年5月日本への引き揚げ事業が開始されたが、多くの困難性が伴い、全員の引き揚げが完了していないにもかかわらず、日本政府は子供達の捜索・引き揚げに取り組まず、1958年には、日本への引揚事業を打ち切った。
 近年の研究では、引揚専業を打ち切ったのは、中国政府ではなく、日本政府の側であり、中国政府による引き揚げ・帰還への協力メッセージも黙殺した。
 中国に取り残されていた日本人の子供達は、日本に帰れなくなり、「残留孤児」になったのであり、残留孤児を生み出したのは、直接には戦争ではなく、戦後の引揚事業の遅延とその打ち切りであったと言わざるをえない。

④1972年、日本と中国の国交が正常化して以降の「肉親捜しと永住帰国」に関する問題点として、日本の厚生省や北京の日本大使館に、多数の残留孤児から肉親捜し・日本帰国を求める手紙が寄せられていたが、日本政府はそれらをほとんど無視し、肉親捜し・日本帰国に消極的、むしろ妨害とすら思える対処をしてきた。
・肉親捜しの訪日調査参加の厳しい制限。
・肉親判明後の帰国許可の困難性。
・残留孤児の二世、配偶者の同伴帰国の厳しい制限。
 これらの帰国制限・妨害が完全に廃止されたのは、1994年頃で、残留孤児の帰国が大幅に遅延し、帰国時はすでに40~60才代で、帰国後も安定した就職日本語習得は困難、貧困な生活が強いられた。

⑤残留孤児を「戦争によって生み出された戦争被害者」とみなすだけでは不十分であり、残留孤児の被害は、1958年の引揚事業打ち切り、1972年の日本国籍剥奪、1994年まで帰国妨害政策など戦後の日本政府(国民主権・民主主義)の政策が生み出した、新たな被害と言わざるをえない。
 だから、残留孤児問題を「語り継ぐべき戦争の記憶」としてのみ捉えると、戦後の日本政府の責任、問題の本質を見逃すことになる。
 戦後日本の民主主義、主権者・日本国民一人一人の責任が問われている。
私達と残留孤児:ともに日本の主権者・日本国民として、今/ここで責任をもって解決すべき戦後民主主義の課題であることと、日本と中国の民衆が、国籍の違いを越えて相互理解を深め、平和な日中関頗・国際社会をいかに作り上げていくのかという課題である。

⑥「言葉・文化の壁」の問題だけに視野を閉ざすのではなく、残留孤児を一人ひとりの生きた人間として、その生活・歩んできた人生をまるごと、歴史的・社会的な背景まで含めて理解することが大切。
 歴史・社会・政治・行政・国際平和の問題にまで踏み込んで考えるべき問題で、「中国残留孤児がたどってきた苦難の道を通して、日本社会に問いかけたこと/今なお問いかけていること」

 以上のことを踏まえて、新支援法から10年経て、残留孤児とその配偶者の高齢化や二世の支援のあり方など、取り組むべき課題をいかに顕在化し、具体化していくのかが問われていることを考えさせられました。
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Author:sigeo0716
高知県議会議員。所属会派「県民の会」。
社民党・新社会党推薦。現在、四期目。
「憲法の精神を県政のすみずみに-希望・豊かさ・安心の県政を」を目指して、頑張ります。
趣味はプロレスを中心に格闘技TV観戦。上方落語・漫才鑑賞。

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